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経済学の勉強法 その2(マクロ経済学)

2011.10.18 - 経済学
今回はマクロ経済学についての勉強法や教科書を紹介していきたいと思います。

大学院でのマクロ経済学

経済学という学問を大学院で学ぶにあたり、最大の戸惑いが生じるのがマクロ経済学だと言われています。

それは明らかに「動学」と呼ばれる時間の概念の導入が原因でしょう。この「動学」と「静学」の定義や違いについては多くの文献、ブログで紹介されているのでご存じな方も多いと思います。

今回もそうした一般的な概念については省略して話を進めていきます。

勉強法

大学院でのマクロ経済学の準備をするにあたってよく言われているのが、「ミクロ経済学の知識が重要になってくる」というようなことです。
確かに現在のマクロ経済学の主流は「ミクロ経済学的基礎付けのなされたマクロ経済学」というものですが、これは単純に理論的な手法の問題であって本質的なマクロ経済学の理解とはあまり関係ないような気がします。
そもそもミクロ経済学で取り扱う経済主体の相似拡大がマクロ経済学に適用可能なのかという部分も議論の余地が大いにある問題です...。
学部時代に準備を進める段階でそこまで気にすることはないでしょう。


とはいえ、ミクロ的なマクロ経済学が大学院マクロの主流であるという傾向はそう簡単には覆らないでしょうし、どちらにせよミクロ経済学も勉強しなければなりませんからその重要性は変わりませんね。

さて、大学院のマクロ経済学で主に必要となる知識は以下の様なものです。
  • 動学的最適化問題(動学的ラグランジアン、ハミルトニアン、ベルマン方程式、BS条件(Benveniste and Scheinkman Condition)、オイラー方程式)
  • 基本的な確率論
  • 差分方程式
  • MATLABやFortran等のコンピュータ言語
動学的最適化問題に関しては「ベルマン方程式」で検索すれば多くの講義ノートが転がっていますから、それで勉強すればいいと思います。事前に微分の知識があれば十分独学で対応できます。
確率論に関しては労働部門のサーチ理論で出てきますが分布関数と確率密度関数の関係性程度が理解できていれば大丈夫だと思います。
差分方程式に関しては理論的知識はほぼ必要なく純粋に計算手法として出てくるだけですから使い方だけ覚えれば十分です。
コンピュータ言語が必要だということは意外かもしれませんが、これはマクロ経済学が解析的な解が求められないほど複雑化した結果だということの表れです。しかも、Excelのようにデータを入れればほぼ計算はパソコン任せ、という次元ではないので片手間で覚えられる知識ではありません。大学院に入って忙しい中で習得するのは難しいので出来るだけ学部時代に身に付けておきたいスキルのひとつです。また、独学も難しいと思いますので、例えば情報工学系の授業を聴講したりプログラミングの出来る友人の助けを借りながら地道に覚えていくのが最良かもしれません。


マクロ経済学の教科書

齊藤誠教授他による「マクロ経済学」(有斐閣)、二神孝一「マクロ経済学」など入門から上級の入り口までを網羅した教科書は多いです。
本質的なマクロ経済学の理解を進めたいならばそうした教科書の内容の理解が前提となります。
ただし、そうした根源的な知識が無くても「学べてしまう」のが現在のマクロ経済学です。
マクロ経済学(New Liberal Arts Selection)


 マクロ経済学



Web上で公開されている講義ノート


分厚い教科書よりも分かりやすくて独学しやすいのは、実は講義ノートです。現在は多くの大学で講義ノートがWeb上で配布されていますが、一般公開されているものも多くあり活用しない手はありません。無料ですし。

どのように入手するかというと、好きな大学ホームページの教員ページからマクロ経済学を担当している教授のホームページへと辿れば大抵「Teaching」や「講義資料」の名前のトピックが存在するので、その中のマクロ経済学の講義ノートのPDFをダウンロードするという流れです。
これら講義ノートの利点は計算過程や理論的背景など教科書では省略されがちな項目が仔細に記載されているところです(だからこそわざわざ講義ノートにしているのですがw)。すなわち、独学に最適なテキストになり得るということです。宿題がアップロードされている大学院も多いです(とくにアメリカ)から、自らの到達点なども測る事が出来ます。

とはいえ、講義ノートは教科書の要約、あるいは補足に過ぎませんから以下で紹介する教科書による本質的な理解も必要となってきます。


Advanced Macroeconomics by David Romer

中級から上級レベルのテキストとして読みやすい一冊。ただし、すでに古い気もするので3章くらいまで読んで、上級はこんな感じなのかー、という手ごたえを掴んだら次の教科書に進むのが賢明な気がします。

Advanced Macroeconomics (The Mcgraw-Hill Series in Economics)



The ABCs of RBCs: An Introduction to Dynamic Macroeconomic Models by George McCandless

大学院でのマクロ経済学といえばRBCという感じですが(リーマンショック以降はそうでもありませんが...)、その代表格的テキスト。最初の数章は数学的にも比較的分かりやすく頑張れば独学も出来るかもしれません。


The ABCs of RBCs: An Introduction to Dynamic Macroeconomic Models [ハードカバー]





Recursive Macroeconomic Theory by Lars Ljungqvist and Tohmas Sargent


上級マクロといえば現在は避けては通れない一冊。上級マクロ経済学に関する広範なトピックが網羅されており、サーベイ文献として活用することも可能だったりします。いきなりマルコフ過程の説明が出てきて面食らうこと間違いなしですが、他の教科書や資料でマルコフ過程について勉強した後ならさらっと通過できるかもしれません。
中盤~後半の章は独立して読む事も可能なので気になるトピックを重点的に勉強する事も可能です。ただやはり、独学するのは辛いかなー...

Recursive Macroeconomic Theory [ハードカバー]



Monetary Theory and Policy by Carl Walsh

金融部門をカバーしつつ、大学院でのマクロ経済学の数学的素養も鍛えられそうな一冊。この教科書で中心となるのはRBCと並んで重要なニューケインジアンという概念ですが、用いる数学的なレベルには大きな違いはありません。説明が丁寧なのでじっくり読んでいけば理解できる内容です。


Monetary Theory and Policy [ハードカバー]




マクロ経済学はミクロ経済学よりも体系化されていない部分が多いので大学によりカリキュラムの構成もまちまちです。まずは自分が進む大学院のカリキュラムでどのようなことを勉強するのか、どのような教科書を用いているのか、ということをチェックして準備に取り掛かると良いでしょう。 

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